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駆け上るでもなく、跳び段するでもなく、一歩一歩、踏みしめながら。

・淫の蘭P


素晴らしかったです……。
あまりにも素晴らしかったので、思わず全文書き出してしまいましたw
それに何の意味があるのか、自分でもさっぱり分かりませんが、
思わずそんなことをしてしまったという事実をもって、
賛辞の代わりとさせてください。

では以下、追記です。

天海春香。16歳。

日本において女性のアイドルといえば、「花の中三トリオ」から
「モーニング娘。」、「AKB48」なんかまで、様々にいるわけだが、
今話題のこの彼女、とても軽くて失礼な言葉をあえて使うなら、
“ブレイク寸前”となるのだろうか。

まったく無名の存在から、知る人ぞ知るの段階を経て、
少しずつマスメディアで取り上げられるようになって。
興味と期待が着実に高まってきて、あとは、何かのきっかけがあれば、
一気にブームが、とも言えるかもしれない。
なにしろ、時の人、旬の人である。
作品作りの舞台裏、日々の忙しさ、スタッフとのやりとり。
確かに超多忙な毎日である。
その忙しさを感じさせないくらい、爽やかで朗らかな人である。
その笑顔にもっと触れたくて、カメラはそんな彼女を追う。

 今を走る覚悟
 明日へ歩く勇気

春香は、笑顔が、とてもチャーミングな女性だ。
人なつっこく笑う優しい目が印象的だ。
インタビューに答えるはじけるような笑顔には、間違いなく、若さの勢いがあふれていた。
まっすぐな情熱が、まっすぐなまま伸びていったからこその笑顔だ。
それが眩しくてうらやましい。

春香は“ナチュラル”。
意識的に自然でいようということではなく、最初から最後まで、ただただ自然である。
どこまでも自然体で、その飾らなさが、とても魅力的だった。
自分が悲しかったら泣いてるし、おかしかったら笑ってるし、嫌だったら怒ってるし、
でも、どこかカラッとしていて、すごく本能に近いところで生きている―――
と感じながら、冗談めかして言うと、
彼女は自ら「超普通路線」と、にやにや笑いで言う。

春香は“全力疾走する女”。
彼女にとっては、走ることは日常だった。彼女は、とにかく外に出る。
晴れやかにあちこち動き回る。じたばた動き回ったあげく、派手に転んだ。
それでも走る。
決して走るのが得意なわけでもないのに、走って走って、走ってきたのだ。

そんな彼女の心の支えとなり励ましとなったのが、プロデューサーである。
見守る、理解する、応援する、助ける、といったふうに、
彼女の速さに併せて走ってきたのだ。
なんというか、ひょうひょうと、あるいは、のほほんとした人である。

プロデューサーという仕事に興味を持ち、取材をさせてほしいと、
テレビの仕事が忙しい中で、取材の打診をしたことがある。
間髪を入れずに返ってきた答えは、
「主役はあくまでも春香だけですから」
と、そう言いつつも、短い時間の中でインタビューに答えてくれた。

これまで歩んできた道について、こんな話をしている。
「階段を駆け上ったつもりもないし、跳び段して上ったつもりもない。
 自分の中では、徐々に、徐々に、上っていっているんです」
それから、にっと口を広げて笑い、
「自分がやっていることは、きっかけ作りにすぎないです」
と、きっぱり言った。

プロデューサーとは、正解をたくさん持っているのではなく、
無限にあるはずの解答をまとめ、取捨選択して正解へと導いていく道筋を、
たくさん持っているのだろう。
知識を教えるのではなく、分かち合うのだ。
「兄弟というか、親子というか、いや、なんていうかもっと……。
 そう。戦友みたいな感じなんだよな」
ぴったりと収まる言葉を見つけられたことにほっとして、笑みを浮かべる。

・・・

桜が満開だった。赤ん坊はかわいかった。
女の子で「春香」と名付けられている。
丸顔に、天真爛漫な笑顔がよく似合う少女だった。
中学のときの恩師は、春香を、
「決して器用ではなかったが、とにかく真面目だった」と評した。

彼女は、決して、万事をさらりとこなしてしまうタイプではないのだろう。
そんなときに言われた、
「階段を駆け上るでもなく、跳び段するでもなく、
 一歩一歩踏みしめながら、前へ進みましょう」
という言葉を、春香はいつまでも覚えていて、その原点を今も忘れていない。

その三ヶ月後。もうすぐ春休みが終わろうかというある日のこと。
スタジオを出たのは、夕方四時。
彼女は、終始落ち着かない様子で、周りを見渡す。

「いえ。ちょっと考え込んじゃってて。
 だから、ここで息抜きを。
 あの、ちょっと言いにくいことなんですけど。
 最近、ステージで歌っていると、時々分からなくなるんです。
 私って、なんでこんなことしてるんだろうって。
 おっきなステージに立つようになって、テレビに出て、CDもいっぱい出して。
 仕事に恵まれて、スポットを浴びて、不満なんてないはずなのに」

これからの抱負について話を向けると、彼女はそれには答えず、
「自分には、人を引きつけるような強烈なサムシングはない」
と言って、涙ぐんでしまった。
そしてふいに、
「プロデューサーが交代して、一ヶ月が経ちました」ともらすと、
「ごめんなさい」と、蚊の泣くような声で言った。

脚光を浴びていることと、現実での努力や苦労、
なかなか追いつかないそれが、手に入らなかった。
いや、永遠に手に入らない何かであるような気が、ふいにする。
いったい何のために走ってきたのか。
誰よりも速くと、自分に言い聞かせてきたのか。

泣きながら去った彼女が見えなくなって、私達はその日のロケを終えた。

・・・

 4月1日 日本武道館

一万人を超えるオーディエンスで埋め尽くされた会場は、人、人、人である。
一時は引退説さえ、囁かれていた。
本音では、ちょっと複雑なところもあったのではないだろうか。
あれから、逃げまいといろいろやってみた。
今いるところが、かつて目指した場所ではないとしても、走り止めることができない。
だが、走っているのに、思うように進めない。
走れば間に合うと思いながら、体が動かない。
それでもやはり、彼女は、足を踏み出し続けた。

 ♪「I want」
 ♪「太陽のジェラシー」

その日、ライブ会場に、プロデューサーの姿が見えた。
無礼を承知で、異動の理由を聞くために、カメラを回す。

「自分の中にある希望に対して、自分自身でおびえてしまうような、
 そんな弱さを、彼女は以前から、気に病んでいたようです。
 こんなこと言っちゃなんですけど、プロデューサーである私は、
 あえて、それでもいいと思っています」

 ♪「まっすぐ」

「なにも知らないまま、安易な成功を与えられて過ごす人生よりも、
 不安におびえながら、成功を夢見たり、失敗に涙したりして
 できあがる人生の方が、きっと、味わい深いものになるんですよ。
 人もうらやむ成功を収めた後に、大きな試練にぶつかって、
 不安の中で、より高いレベルに挑戦する。
 春香には、困難を乗り越えて、良き人生を送ってほしい。
 良き大人になってほしい」

一つ一つ言葉をゆっくりと選びながら、穏やかに話すその口ぶりからは、
そんな彼の、春香に対する気持ちが伝わってくる。

「みんなー!ありがとうー!それじゃ、最後の曲!聞いてください!」

 ♪「Colorful Days」

今、手元にあるものは、偶然降ってきたものでもなければ、
運命的にそうなったのでもない。
欲しいと望んで自ら手に入れたものだと、今更ながら気づく。
辛いことも悲しいこともたくさんあったけれど、
それでもやっぱり、何かに守られていたように思うのだ。
決して一人ではなかったように思うのだ。

なぜなら、気がつけば、そこにはいつも、彼の視線と日常があったからだ。
ゆっくりと時間をかけて見守り、理解して、応援する。
ときには助けることだってある。
それは紛れもなく、プロデューサーとして、彼女の速さに併せて歩いているから。

・・・

桜の花が咲き誇っている。
花見客の人混みも、途切れることがない。
彼女は、きれいだねと、明るい声で繰り返している。

「あぁ。えっと。私、決めました。
 これから先、どうするのか。
 私、もうアイドル、やめてもいいかなって思ってました。
 けど、やっぱり、続けることにします。
 最後の曲、歌い終わって思ったんです。
 これだけの人が、私を応援してくれてる。
 なら、このまま走り続けるのも、いいかなって。
 少し休んだら、また活動を再開します」

最後に、将来の夢や目標は?と質問したら、
「人生に目的を持ち、日々充実して過ごしている、年齢に相応しい大人であること。
 まずは行動を起こそう。そこからだよね。将来は、自分で切り開くものだろ」
と照れくさそうに笑った。

夢に破れたとき悔いが残らないように。
その言葉は、おそらく、ぐっと胸の奥にしまい込みながら。

天海春香。16歳。
彼女は、その先にある未来に向かって、歩き始めた。

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